研究課題/領域番号 |
03670845
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
大竹 克也 新潟大学, 歯学部, 助手 (20213754)
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研究分担者 |
前田 健康 新潟大学, 歯学部, 講師 (40183941)
新垣 晋 新潟大学, 歯学部, 助教授 (30134943)
中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
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キーワード | 癌 / 神経支配 / 免疫組織化学 / CGRP / 血管拡張 / ハムスタ- / 舌 / 痛覚閾値 |
研究概要 |
ハムスタ-の9,10ーdimethylー1.2ーbenzanthracene(DMBA)誘発舌扁平上皮癌を用いて、発癌過程における神経線維の動態を、神経ペプチドの一つで、痛覚の伝達および強い血管拡張作用など、多機能を有するカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の免疫組織化学により検索した。 発癌群では全例で、肉眼的に表面に潰瘍を形成した大きな腫瘤を形成し、病理組織学的に高分化型の扁平上皮癌がみられ、筋層へも索状に浸潤していち。腫瘤内や腫瘍の筋層への浸潤部の間質には多数の血管および細胞浸潤がみられた。CGRP陽性線維は腫瘤内やそこに存在する血管にはほとんどみられなかったが、腫瘍の浸潤部では多数のCGRP陽性線維がみられ、癌胞巣と非常に接近しているものや細い血管にまとわりつくものもみられた。また、腫瘍周囲組織も含め浸潤部の小動脈には通常の舌に比し、CGRP陽性線維が密に分布していた。すなわち、CGRP陽性神経線維は、腫瘍内部や間質の血管にはほとんど存在しなかったが、発癌早期から腫瘍浸潤部とその周囲組織およびそこに存在する血管では、CGRP陽性神経の数の増加がみられた。CGRPは痛覚に関与するといわれており、腫瘍組織そのものの痛覚閾値は高いが、腫瘍周囲では慢性痛覚に関与しているものと思われた。またCGRP陽性線維は、腫瘍内の血管に分布するものは少なく、腫瘍血管は血流の自動調節能を持たないという従来の説を支持する。しかし腫瘍周囲の血管には特に密に分布するようになり、CGRによる強い血管拡張作用で、受動的に腫瘍組織への血流が増加し、腫瘍の発育にとって神経学的に有利な条件が生じている可能性が示唆された。さらに浸潤性細胞とCGRPの連関についても考察を加えた。
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