1992 年度実績報告書

口腔内小唾液腺腫瘍の細分類と診断基準確立のための構成細胞の解析

研究課題

研究課題/領域番号	03670847
研究機関	広島大学
研究代表者	二階宏昌広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)
研究分担者	伊東博司広島大学, 歯学部, 助手 (20184682) 高田隆広島大学, 歯学部附属病院, 講師 (10154783)
キーワード	小唾液腺 / 腫瘍分類 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / 増殖活性 / PCNA / AgNOR
研究概要	改訂されたWHO国際分類で新たに採択された各種腫瘍型を中心に、構成細胞の性状の免疫組織化学的・電顕的検討を継続するのに加えて、今年度は、腫瘍細胞の増殖活性の数量的解析を試み、以下の知見を得た。 1.良・悪性各種腫瘍型を用い、その臨床経過・組織像と増殖細胞核抗原(PCNA)の局在・発現頻度とを比較検討した結果、腫瘍の増殖能・臨床態度とPCNA発現率との密接な相関性が認められ、唾液腺腫瘍の予後を推測する因子としてのPCNA発現率の有用性が示唆された。 2.PCNA発現率を指標として、筋上皮腫と多形性腺腫の増殖活性を比較した結果、上皮様・紡錘形・明細胞型の腫瘍性筋上皮を主体とする筋上皮腫ではPCNA発現率が多形性腺腫のそれよりも有意に高く、このようなタイプの筋上皮腫が多形性腺腫よりもややaggressiveな臨床経過を辿る可能性が示唆された。従って、筋上皮腫の診断に際しては、構成細胞による細分類を明示することが必要であると考えられた。 3.腺様襄胞癌については、臨床的悪性度と腫瘍細胞の平均AgNOR数との相関性を検討し、平均AgNOR数が4以上を示す症例は転移率が高く予後不良であったことより、AgNOR数が臨床態度を推測する客観的基準となりうる可能性が示唆された。さらに、組織学的亜型とAgNORとの関連性を検討しつつある。 4.専ら富グリコーゲン性明細胞より成り、組織学的診断の困難であった唾液腺腫瘍の症例について、免疫組織化学的・電顕的検索を行い、これまでに得られた各種腫瘍型での所見と比較した結果、粘表皮癌のclear cell variantであることが確認できた。 5.腺様襄胞癌と組織像に共通性のある多形低悪性腺癌、基底細胞腺癌、上皮筋上皮癌、未分化癌を対象に、構成細胞の解析を行い、それぞれの異同、位置付けについて検討を加えている。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] 小川郁子: "腺様襄胞癌の免疫組織化学的検討 -非定型的組織構造部を中心に-" 日本唾液腺学会誌. 32. 97-99 (1991)
[文献書誌] OGAWA, Ikuko: "Clear cell tumors of minor salivary gland origin.An immunohistochemical and ultra-structural analysis" Oral Surgery,Oral Medicine and Oral Pathology. 72. 200-207 (1991)
[文献書誌] TAKATA, Takashi: "Spindle cell squamous carcinoma of the oral regions An immunohistochemical and ultrastructural study on the histogenesis and differential diagnosis・・・" Virchows Archiv (A) Pathol. Anat.419. 177-182 (1991)
[文献書誌] 二階宏昌: "唾液腺の病変 -小唾液腺の生検を中心に-" 臨床検査. 36. 232-234 300-304 (1992)
[文献書誌] OGAWA,Ikuko: "Proliferating cell nuclear antigen (PCNA) as a marker of proliferating cells in salivary gland tumors" Japanese Journal of Oral Biology. 34. 454-457 (1992)
[文献書誌] OGAWA, Ikuko: "Clear cell variant of mucoepidermoid carcinoma:Report of a case with an immunohistochemical and ultrastructural observation" Journal of Oral & Maxillofacial Surgery. 50. 906-910 (1992)
[文献書誌] 二階宏昌: "歯学生のための病理学(一般病理編)" 医歯薬出版, 262 (1991)

1992 年度 実績報告書

口腔内小唾液腺腫瘍の細分類と診断基準確立のための構成細胞の解析

研究代表者

二階 宏昌 広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)

研究成果

[文献書誌] 小川 郁子: "腺様襄胞癌の免疫組織化学的検討 -非定型的組織構造部を中心に-" 日本唾液腺学会誌. 32. 97-99 (1991)

[文献書誌] OGAWA, Ikuko: "Clear cell tumors of minor salivary gland origin.An immunohistochemical and ultra-structural analysis" Oral Surgery,Oral Medicine and Oral Pathology. 72. 200-207 (1991)

[文献書誌] TAKATA, Takashi: "Spindle cell squamous carcinoma of the oral regions An immunohistochemical and ultrastructural study on the histogenesis and differential diagnosis・・・" Virchows Archiv (A) Pathol. Anat.419. 177-182 (1991)

[文献書誌] 二階 宏昌: "唾液腺の病変 -小唾液腺の生検を中心に-" 臨床検査. 36. 232-234 300-304 (1992)

[文献書誌] OGAWA,Ikuko: "Proliferating cell nuclear antigen (PCNA) as a marker of proliferating cells in salivary gland tumors" Japanese Journal of Oral Biology. 34. 454-457 (1992)

[文献書誌] OGAWA, Ikuko: "Clear cell variant of mucoepidermoid carcinoma:Report of a case with an immunohistochemical and ultrastructural observation" Journal of Oral & Maxillofacial Surgery. 50. 906-910 (1992)

[文献書誌] 二階 宏昌: "歯学生のための病理学(一般病理編)" 医歯薬出版, 262 (1991)

1992 年度実績報告書

二階宏昌広島大学, 歯学部, 教授 (60028735)

[文献書誌] 小川郁子: "腺様襄胞癌の免疫組織化学的検討 -非定型的組織構造部を中心に-" 日本唾液腺学会誌. 32. 97-99 (1991)

[文献書誌] 二階宏昌: "唾液腺の病変 -小唾液腺の生検を中心に-" 臨床検査. 36. 232-234 300-304 (1992)

[文献書誌] 二階宏昌: "歯学生のための病理学(一般病理編)" 医歯薬出版, 262 (1991)