本年度は以下のシステムの開発に成功した。 1、Gene-directed mutagenesis:遺伝子破壊用のsuicide plasmidの作製とそれを用いてのP.gingivalis sod変異株の分離 pVal-1をベースとして大腸菌内で働くpACYC184由来の複製開始点とCm耐性をもち、さらにpUC18由来のlacZ(α)領域をもつsuicide plasmid pKDCMZを作製した。このplasmidのSmaI部位にP.gingivalis sod遺伝子内のBglII_22-EcoRI域(455bp)を挿入したplasmidとR751 plasmidとをもつ大腸菌とP.gingivalis ATCC33277とをmatingした。その結果、数個のEm耐性P.gingivalisが得られ、これらはSOD欠損株であった。 2、random mutagenesis:Tn4351トランスポゾンの挿入変異による黒色色素非産生の変異株の分離 R751::Tn4351Ω4をもつ大腸菌とP.gingivalis ATCC33277とのmating mixtureをEm Gm入り溶血血液寒天平板に塗抹することにより、多数のEm耐性変異株が得られた。その中にはこの平板上で黒色色素を産生しないものが1%程度含まれていた。その中の数株は1%スキムミルク寒天平板でのカゼイン分解性が顕著に低下していた。 このように分子遺伝学的方法でP.gingivalisに変異を導入することがほぼ確立した。
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