骨形成面と骨休止面に分布する毛細血管床の形態特徴と血管床量の解明を試みた。前年度の結果から、生後28日から34日目の体重100-120gの若令青年期の頭頂骨外側面を用いたが、既に頭頂結節に相当する中央部は骨吸収期をすぎて、骨形成期から一部休止期の領域が認められるよう変化していた。そして、その外周領域に同心円状に帯状をなして骨吸収面が広く展開し、更にまたその外帯即ち前頭、矢状、後頭の各側縁には骨形成面が形成されていた。従ってこの時期の個体雄では骨改造機構の全ての相が観察可能である新しい知見が得られた。故にこの時期の個体を材料にして上記の検索を試みた。骨形成面の3次元毛細血管構築の形態特徴は、単層であるが血管の走行に起状があり、蛇行を示し、時に方向性のみられる密な網眼で、骨面に近く、逆に骨休止面の血管構築の特徴はやはり単層であるが、方向性のみられない粗大で不正円形に近い網眼で、骨面からより離れて存在しており、骨吸収面の毛細血管網工と類似しているが、幾分か粗大であった。この個体で骨吸収面の毛細血管構築の特徴も改めて観察したが、前年度に観察した網工構築と同様であった。網工を形成する毛細血管の太さは骨改造3期の骨面ともおよそ7-12μmで特に差はなかった。次に骨改造の各期骨面に存在する床量の検索では、前年度の結果から、各期骨面に同じ単位面積量の骨面積を設定し、血管鋳型標本の3次元走査電顕所見から相対的関係で検索した。その結果は骨形成面が最も多く、骨吸収面と骨休止面は少ない傾向にあったが、その内でも骨吸収面が多く、骨休止面が最も少ない様であった。しかし、骨吸収面と骨休止面はほとんど同じ傾向をもつて良く似た傾向を示していた。3次元解析はサーフィスコンバート法で行ったが柱状構造となり、走査電顕所見と一致しない箇所が出現した。従って現在の方法では数量化はかなり複雑でむづかしいと分かった。
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