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非角化重層扁平上皮の最上層細胞の自由表面にはマイクロリッジと呼ばれる細胞質の隆起構造がみられる。マイクロリッジは、魚の口腔粘膜では細胞を単位に渦巻いた模様を描いており、動的で、環境の変化に応じてリッジから突起へ、また、その逆へ変化することが知られている。マイクロリッジはケラチンフィラメントを土台にしたアクチンフィラメントから構築されているが、立体的にどのようにして帯状の隆起構造が形成されているかは、まだ明らかにされていない。本研究の目的は、高分解能走査型電子顕微鏡を用いて、マイクロリッジとこれらのフィラメントの立体的関係、動的に変化するマイクロリッジとその変化に必要とされる膜の移動に細胞骨格がどのように関係しているかを調べた。
サポニンやトリトンX-100で処理した粘膜上皮の超薄切片の観察や日立S-900高分解能走査型電子顕微鏡による観察を行った。超薄切片法の一部の試料はヘビメロミオシンS1を反応させた。また、膜内粒子を観察するために、フリーズ・レプリカを作成した。
マイクロリッジをもつ細胞は、中央に核や分泌顆粒を含む小器官をもち、周囲を太いフィラメントの厚い層に囲まれていた。マイクロリッジ部では細いフィラメントが密に詰まっていた。二つのフィラメントの層には分泌顆粒と被膜小包が見られ、それぞれにフィラメントが付着していた。最表層部の細いフィラメントは超薄切片法の結果からアクチンフィラメントと考えられ、錯走するフィラメントが所々で隆起しリッジを形成していた。リッジ内部のフィラメントはリッジの模様に平行するもの、直交するもの、斜走するものが見られた。リッジ基部より下層では、やや太い、ケラチンフィラメントと考えられるものが網目状に配列しており、マイクロリッジ膜の供給源と考えられている分泌顆粒膜や核膜に結合していた。
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