種々のアゴニストによる耳下腺アミラ-ゼ分泌効果を耳下腺遊離細胞の潅流系を用いて解析した。カルバミルコリン(CCH)やP物質によるアミラ-ゼ分泌効果は2相性の変化を示した。即ちこれらのアミラ-ゼ分泌は刺激開始後急激に上昇し約30〜60秒後に最大(peak)に達しその効果の大きさは刺激開始前の約10〜15倍であった。ところでアミラ-ゼ分泌速度はpeak後急激に減少しCCHの場合、刺激開始4〜5分後にはpeak時の20%くらいになり(plateau)このレベルはアゴニストが存在する限り維持された。外液のカルシウムを除去(カルシウム除去+EGTA添加)した場合、peak及びplateau共に著名に減少した。CCHにより得られたplateauの時点でカルシウムを除去するとアミラ-ゼ分泌効果は急激に減少する。しかしこの減少は一過性でありアミラ-ゼ分泌速度は再びゆっくりと増加し新しいplateauとなる(但しこの2度目のplateauは最初のplateauより低かった)。カルシウム除去液で潅流後再びカルシウムを含む溶液に移すとカルシウムを含む液での潅流開始後約90秒後に再び急激なしかし一過性の第二のアミラ-ゼ分泌のpeakがみられた。このpeakの大きさは最初のpeakの約80%であった。この第二のpeakの発現はCCHを加えなくてもみられた。カルシウム除去でみられた効果とほぼ同様な現象がカルシウム除去のかわりに非特異性カルシウムアンタゴニストのCocl_2やNicl_2を加えた場合にもみられた。潅流液中にBAPTAーAMを加えるとCCHの効果は減少した。しかしカルシウム除去+EGTAでみられた第二のpeakはBAPTAーAMではみられなかった。以上の結果はCCHの連続刺激によるアミラ-ゼ分泌の脱感作効果現象のメカニズムのすくなくとも一部は外液のカルシウムのinfluxが関与している可能性があり現在検討中である。
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