研究概要 |
消化管ホルモンとして知られているペプチドが中枢神経系に広く分布していることが知られている。脳ー腸管ペプチドは中枢および末梢のニュ-ロンにおいて,神経伝達物質として,また,生体機能を調節する修飾物質としての役割をもっているかもしれないことが示唆されている。従って,本課題にも示した通り,ペプチド類が唾液分泌に何らかの影響を及ぼすかもしれないと考えられる。本研究においては,コレキストキニン類似物質であるセルレタイドを主体に唾液分泌調節機構への影響を自律神経作用薬との関り合いておいて検討した。 実験にはddY雄性マウス(25〜30g)を1群10匹として用いた。セルレタイド(CER)は0.4,4,40μg/kgとし,コレキストキニンーオクタペプタイド(CCKー8)は5,50,500μg/kgとした。これらは生理食塩水に溶解し,皮下投与した。マウスの唾液分泌量の測定はRichterの方法(Acta.Pharmacol.Toxicol.,1966)を改良した我々の方法(岩医大歯誌,1982)で行った。CERおよびCCKー8の単独投与は唾液の唾液分泌量には影響を及ぼさなかった。次に,交感神経α作用を示すフェニレフリン(Phe:5mg/kg,S.C.)を催唾剤として用いた。CERを30分前に投与し,Pheによる唾液分泌反応について検討した。CER0.4μg/kg群では唾液分泌量の増大傾向を示したが,CER4および40μg/kg群と同様に,対照群との間に差異は認められなかった。また,CCKー8群でも同様にPheによる唾液分泌量には影響は認められなかった。 なお,交感神経β作用並びに副交感神経作用薬の影響や,唾液腺臓器内のモノアミン関連物質への影響については,現在検討中である。
|