研究課題/領域番号 |
03670873
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
新木 敏正 昭和大学, 歯学部, 講師 (90138420)
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研究分担者 |
瀧戸 次郎 昭和大学, 歯学部, 助手 (00197237)
須田 立雄 昭和大学, 歯学部, 教授 (90014034)
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キーワード | 脂肪細胞 / 脂質合成 / 骨粗鬆症 / リン脂質 / トリグリセリド / 前脂肪細胞 / ビタミンD / デキサメタゾン |
研究概要 |
骨髄間質細胞は前脂肪細胞様の形質を示すAdventitial reticular cellであり、デキサメタゾン処理によって脂肪細胞へと分化するが、活性型ビタミンDが存在するとデキサメタゾンによる脂肪細胞への分化は阻害される。また、活性型ビタミンDの骨塩動員作用に関与する破骨細胞は、なぜ骨髄のあるところでのみ形成されるのか、また老齢の動物ではなぜ黄色髄が出現するかの2点に着目して、骨髄間質細胞(前脂肪細胞)と活性型ビタミンDの作用について検討した。その結果、(1)骨髄間質細胞は、活性型ビタミンDとグルココルチコイドの受容体を有しデキサメタゾンによって脂肪細胞に分化し、活性型ビタミンDが存在すると脂肪細胞への分化は阻害された。(2)活性型ビタミンDはデキサメタゾンに依存したトリグリセリド合成を抑制すると共に、リン脂質特にホスファチジルコリン(PC)ならびにホスファチジルエタノールアミン(PE)の合成を促進した。(3)デキサメタゾンによる骨髄間質細胞の脂肪細胞への分化はトリグリセリドの合成を促進するばかりでなく、脂肪細胞に特異的に発現するセリンプロテアーゼ(Adipsin)ならびにグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)の合成も促進することが明らかになった。また、活性型ビタミンDはAdipsinならびにG3PDHの発現を転写段階で阻害した。(4)放射性メチオニンを用いた取り込み実験から、デキサメタゾンは分子量36kDのタンパク質の合成を促進したが、活性型ビタミンDの処理はこのタンパク質の合成も阻害した。そこで、本タンパク質がAdipsin,G3PDHのいずれかの蛋白かそれとも未知のタンパク質であるか現在検討中である。 以上のことから、活性型ビタミンDは骨髄間質細胞に働いてリン脂質合成を促進すると共に、破骨細胞形成支持能を有する細胞に分化させることが示唆された。
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