研究課題/領域番号 |
03670879
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
塗々木 和男 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (90139577)
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研究分担者 |
岡部 栄一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (50097276)
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キーワード | 歯周疾患 / エンドトキシン(LPS) / bradykinin / 血管平滑筋 / 内皮細胞 / 活性酸素種ラジカル / 内皮由来弛緩因子(EDRF) / 電子スピン共鳴法 |
研究概要 |
キニンとくにbradykinin(10^<-9>^〜10^<-7>M)は、いわゆる生理条件下において口腔内血管を内皮細胞のB_2キニン受容体を介して弛緩させること、またこの弛緩が内皮由来弛緩因子(EDRF)とくに一酸化窒素(NO)によって平滑筋細胞内guanylatecyclaseの活性化を介したcGMP産生に起因していることを、また一部、内皮由来過分極因子(EDHF)が関与していることを示した。一方、高濃度(>10^<-6>M)bradykininは平滑筋細胞膜上のB_2キニン受容体を介した平滑筋細胞内へのカルシウム増大を引き起こし、筋収縮させるなどの二相性反応を有する。この収縮は、平滑筋細胞外から受容体制御のチャネルを介したカルシウム流入が関与している。また、別の実験系において、歯周疾患発症の原因物質とされているエンドトキシン(LPS)を処置したウサギの摘出舌動脈は元来感受姓を示さなかったB_1キニンアゴニストに対して応答するようになる。健常血管平滑筋細胞には、B_1キニン受容体は元々存在せず、なんの生理的機能も示さないが、LPSなどによる有害刺激によって全身的二次的反応を介して平滑筋にカルシウムチャネルとカップルしたB_1キニン受容体が新形成され、その結果、細胞内カルシウム動員を導き、血管は収縮することを明らかにした。さらに、電子スピン共鳴法からLPSは、直接その分子内あるいは水界との相互作用のいづれかによって傷害性の高い活性酸素種ラジカル(^.OHradical)産生を傍証的に確認している。そしてin virto ^.OHradical発生系において90分間暴露された血管は、選択的に内皮細胞機能障害を生じ、内皮依存性弛緩反応は著しく抑制される。以上、歯周疾患発症機構に、これら局所循環調節因子との相互作用を介した血管収縮反応と、炎症反応に初期段階あるいは、有害刺激(LPSなど)によって生じた傷害性活性酸素種ラジカルが深く関与する可能性を示唆した。
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