研究課題/領域番号 |
03670883
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
松本 昌世 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (70064780)
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研究分担者 |
新井 通次 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (20097538)
戸苅 彰史 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (80126325)
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キーワード | クロルプロマジン / マウス歯胚 / 硬組織形成 / アルカリホスファターゼ / カルモジュリン |
研究概要 |
昨年度は、ラットにおける種々の薬物による切歯象牙質の形成障害の有無と血中CaおよびP濃度の変動について検討した。本年度は、血中CaおよびPの変動を伴わないで象牙質形成障害を来たしたクロルプロマジン(CPZ)に注目し、そのin vitroでの作用を調べ、薬物による硬組織形成障害を体系的に検討した。まず、CPZの物理化学的石灰化抑制作用について、脱灰骨を用いた石灰化モデルについて検討した。ラットの脱灰済み大腿骨を血液のミネラル組成に等しい無機塩溶液に浸し、CPZと同じく物理化学的石灰化抑制作用を持つビスホスフォネート(HEBP)の石灰化物の骨における再沈着に対する効果について比較した。0.1mMHEBPは石灰化物の沈着を著しく抑制したにもかかわらず、同じ濃度のCPZは抑制せず、CPZの硬組織形成障害が物理化学的な石灰化抑制に因らないことが示された。そこで、石灰化能を有する培養歯胚においてCPZの作用を検討した。歯胚の象牙芽細胞の機能および石灰化の指標として、歯胚中のアルカリホスファターゼ(ALP)活性およびCa含有量をそれぞれ測定した。1μMおよび10μMのCPZは培養7日目のALP活性およびCa含有量を著しく低下させた。さらにカルモジュリン拮抗薬のW7は、CPZ同様にALP活性およびCa沈着を強く抑制した。しかし、W7に比べカルモジュリン拮抗作用の弱いW5は石灰化抑制作用も著しく弱かった。以上の結果は、CPZによる石灰化障害が硬組織形成細胞のALP活性の抑制と関連すること、また、カルモジュリンを介した作用であることを示唆した。来年度は、硬組織形成細胞の機能マーカー酵素であるALPがエクトエンザイムであること、また亜鉛含有のメタロエンザイムであることに注目して、骨芽細胞におけるALP活性と石灰化とを関連させて検討し、一連の研究成果をまとめる計画である。
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