研究概要 |
3種類のフェノ-ルアミンを刺激薬に用いるので,先ずチラミン,オクトパミン,ノルフェニレフリン作用を明らかにする必要があり,検討を行った。チラミンとオクトパミンは最少投与量では交感神経性B_1ーレセプタ-を刺激したが,その他の投与量では3種類のアゴニストはすべて交感神経性α_1ーレセプタ-を刺激した。また,チラミンは偽りの神経伝達物質であることが明らかになったが,オクトパミンとノルフェニレフリンはカテコ-ルアミンの前駆体の可能性をもつことが明らかになった。これの成績は外国誌に3つと国内誌に1つ投稿中である。一方,老齢化の指標になる交感神経性β_1ーレセプタ-依存性のタンパク質は分離・精製が完了した。また,アミノ酸組成も明らかにすることができた。このタンパク質は酸性アミノ酸や中性アミノ酸のThr,Leu,Valが多く,含硫アミノ酸や塩基性アミノ酸のHis,Argが少ない酸性(pI4.05)の低分子量(M.W.16000)タンパク質であった。このタンパク質はpI4.05付近の3〜4つのバンドと共通抗原性を示した。翻訳後修飾の可能性は検出できていない。また,顎下腺の腺房細胞にのみ限局し,舌下腺,耳下腺あるいはその他の組織には存在しない成分であった。生後1年前後で現われ,労齢化とともに増量するタンパク質である。現在,多数の15〜19月齢雌雄ラットを準備中である。それからさらに,老齢ラットを準備する片わら,約30週齢のLife spanをもつ免疫異常のMRL/1pr雄マウスの各週齢の唾液腺および唾液を採取し,組織学的・生化学的に検討している。MRL/1prマウスではリンパ系器官である胸腺,脾臓およびリンパ節などが老齢化に伴い10〜100%倍に増生する。このような状況下で,唾液腺は多数のリンパ球の浸潤を受ける。耳下腺は加齢ささもに肥大するが,顎下腺は萎縮する。BALB/cマウスを対照に顎下腺唾液タンパク質の老齢化変化を検討し,興味ある結果を得ている。来年度の継続課題である。
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