研究概要 |
活性型ビタミンD3{1,25(OH)_2D_3:VD3}がセメント芽細胞の分化そしてセメント質形成に対して、どの様な役割を果たしているのかを知るために、アルカリフォスファタ-ゼ(ALPase)をメルクマ-ルとして、組織化学的検討を加えた。 VD3をプロピレングリコ-ルに溶解し、250mg/kgを生後3日目のラット腹腔内に12日間連続投与し、5,7,9,11,13,15日目にエ-テル麻酔下でヘパリン注射後、左心室尖より採血、ついで、左心室尖より1%グルタ-ルアルデヒド潅流固定を行い、10%EDTA脱灰後、凍結標本を作製、βーグリセロフォスフェ-トを基質としてALPase染色を行った。血清中のカルシウムおよび無材リンの測定はオルトクレゾ-ルフタレイン法とモリブデンブル-法で行った。 VD3投与により、ラットの体重増加は抑制され血清中の無材リン量も増加を抑制されたが、カルシウムは2倍近い増加を示した。 アルカリフォスファタ-ゼ反応とセメント質形成との関連としては、生後9日目からアルカリフォスファタ-ゼ反応がCEJ付近に広く見られ始め、それに続く様に無細胞セメント質が歯根表面に形成された。 VD3は歯頸部付近の無細胞セメント質の発現や形成に対し、抑制的に作用した。 今回の実験では、VD3の投与量がPitaru(1982)らの半分で動物の年令もかなり若いなど、彼らとは実験条件が異なっていたが、VD3が無細胞セメント質の発現、形成に抑制的に作用し、その原因としてはアルカリフォスファタ-ゼが大きな役割を占めていることが考えられた
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