研究概要 |
初期治療においてスケーリング,ルートプレーニングによる器械的な歯肉縁下のプラークコントロールに加えてミノサイクリン含有徐放性剤(ペリオクリン(R))の局所投与を併用した場合の効果について臨床的,細菌学的に検討した.被験者としては中等度から重度に進行した歯周炎患者11名,被験歯としては上下顎左右4部位に存在する5mm以上の歯周ポケットを有する単根歯4歯を選択した.歯肉縁上プラークコントロールの後,被験歯のPlaque Indexがほぼ0になったことを確認して,超音波スケーラーによる全顎的なスケーリングおよび局所麻酔下で被験歯と両隣在歯にグレーシー型のスケーラーによるスケーリング,ルートプレーニングを行なった.2週後に歯周ポケットが4mm以上残存していた36部位中20部位にペリオクリン(R)を1週毎に4回投与した(MC群).他の16部位(SCI群)と,歯周ポケットが4mm以下であった8部位(SCII群)については経過観察を行なった.診査は,術前2週,スケーリング時,術後2週,ペリオクリン(R)〓投与後1週,2週,その後30週まで2週毎に行なった.臨床指数としては,Plaque Index,Gingival Index,probing depth,bleeding on probing,attachment level,gingival crevicular fluid(GCF),歯の動揺度を用い,細菌学的検査としては,暗視野顕微鏡下でcocci,rods,motile rods,spirocheteの比率と総菌数を算定し,嫌気的培養により黒色色素産生性嫌気性桿菌(black pigmented anaerobic rods,BPAR)の比率と総コロニー数およびActinobacillus actinomycetemcomitansの出現率について調べた.初期治療後2週の時点で4mmを超える歯周ポケットを持つ部位にペリオクリン(R)を用いることにより投与後30週まで経時的に症状の改善が見られた.しかし,同様の変化はスケーリング単独群でも見られ,ミノサイクリン含有徐放性剤(ペリオクリン(R))の局所投与の併用効果は認められなかった.
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