本研究は、新型の歯面処理材、接着性プライマ-およびボンディング材を用いてコンポジットレジンを充填した際の辺縁封鎖性ならびに窩壁適合性をin vitroおよびin vivoにおいて色素浸入試験によって評価し、より良き修復法を確立することを主眼としている。 1.in vitroにおける色素浸入試験 ヒト抜去健全歯にV級窩洞を形成し、塩化カルシウムを含有する歯面処理材、サリチル酸誘導体を主成分とする接着性プライマ-、光・自家重合タイプのボンディング材、低粘性レジンおよびコンポジットレジンより構成されているClearfil Photo Anterior&Liner Bond Systemを用いて修復を行ない、サ-マルサイクリングあるいはサ-ボパルサ-によって負荷を加えた後に、色素浸入試験に供された。また、対照として、自家重合型レジンのClearfil FIIおよび光重合型レジンのPhotoClearfil Brightを用いて同様に修復を施し、辺縁封鎖性について比較した。 その結果、サ-マルサイクリングによって負荷を加えた後の辺縁封鎖性および窩壁適合性はどのレジンも良好な成績を示し、差は認められなかった。しかしながら、サ-ボパルサ-によって負荷を加えた場合には、Clearfil Photo Anterior&Liner Bond Systemによって修復を行ったものが、他に比べ良好な辺縁封鎖性を示した。今後、負荷をかける条件の変化が色素浸入試験の成績に及ぼす影響について、更に詳細に検討する予定である。 2 in vivoにおける色素浸入試験 サルの生活歯にV級窩洞を形成し、in vitroにおける実験と同様、3種類のコンポジットレジンにより修復を行った。実験期間の180日を経過後、レジンを充填した歯牙を取り出し、色素侵入試験に供し、その成績を上述のin vitroにおける色素浸入試験の成績と比較検討する予定である。
|