本研究は、新型の歯面処理材、接着性プライマーおよびボンディング材を用いてコンポジットレジンを充填した際の辺縁封鎖性ならびに窩壁適合性をin vitroおよびin vivoにおいて色素浸入試験によって評価し、より良き修復法を確立することを主眼として平成3年度より継続して遂行された。本年度は、in vivoにおける色素浸入試験が行われ、その結果と前年度に行われたin vitroにおける試験成績とが比較・検討された。 1 in vivoにおける色素浸入試験 サルの歯牙にコンポジットレジン修復を行い、色素を用いて辺縁封鎖状態および窩壁適合状態を調べた。すなわち、ニホンザルの生活歯にV級窩洞を形成し、in vitroにおける実験に用いられたものと同じ3種類の市販のコンポジットレジン(Clearfil Photo Anterior/Liner Bond System、PhotoClearfil Bright/Photo BondおよびClearfil FII/New Bondいずれもクラレ社製)により修復を行った。実験期間の7日および180日を経過後、修復された歯牙を取り出し、色素侵入試験に供し、辺縁封鎖性および窩壁適合状態について調べた。その結果、新型の歯面処理材、接着性プライマーを含有するClearfil Photo Anterior/Liner Bond Systemは短期、長期ともに他の材料に比べ良好な辺縁封鎖性および窩壁適合状態を示した。 2 in vitroにおける試験結果との比較 in vivo、in vitroのどちらにおいても、Clearfil Photo Anterior/Liner Bond Systemは他の材料に比べ優れた辺縁封鎖性および窩壁適合性を示した。また、どの材料もin vivoとin vitroの試験において、ほぼ同程度の成績であった。 以上より、Clearfil Photo Anterior/Liner Bond Systemを構成する新型の歯面処理材、接着性プライマーは、修復物の辺縁封鎖性および窩壁適合性の向上に大きく寄与していることが明らかになった。
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