研究概要 |
ラット切歯髄由来のクローン細胞であるRDP4-1,およびRPC-C2A細胞を用いて実験を行った。これらの細胞はいずれも高いアルカリホスファターゼ活性を示し、石灰化との関連を追究する上で有用な実験系である。平成3年度の研究で、これらの細胞がリン酸化オステオポンティンを合成分泌することを明らかにしたが、平成4年度では、このリン酸化オステオポンティンには2種類の分子サイズのものがあり、一つは69kDa、もう一つは60kDa(10%SDS-PAGEゲル上)であることが判明した。主たるバンドは60kDaであり、リン酸化の程度も69kDaよりも顕著であった。さらに、これら2種類のオステオポンティンはいずれも硫酸化を受けていることが、[^<35>S]硫酸標識実験によって明らかとなった。[^<32>P]リン酸標識の場合と同様に、硫酸化オステオポンティンはトロンビンによって消化され、10%ゲル上で32kDaと28kDaの2つのバンドに分かれた。また、オステオポンティンのモノクロナール抗体を用いて免疫沈澱法を行ったところ、69kと60kDaの位置にオステオポンティンのバンドが確認された。2種類のオステオポンティンが存在し、そのいずれもが硫酸化されるという報告は、ラット頭蓋冠由来骨原性細胞や骨髄由来細胞においても報告されており、硫酸化オステオポンティンの存在によって石灰化が促進されると言われている。今回の結果、すわわち歯髄細胞が硫酸化オステオポンティンを合成分泌していたという事実は、これらの歯髄クローン細胞がまさに石灰化準備状態にあることを示すとともに、オステオポンティンは石灰化と密接に関連した蛋白の一つであることを示唆するものである。
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