研究概要 |
ラット歯髄由来株化細胞であるRPC-C2A細胞を用いて、この細胞がオステオポンティン(OPN)の遺伝子を発現しているかどうか、また活性型ビタミンD_3の一つである1,25-ジヒドロキツビタミンD_3(1,25D_3)によってその発現が制御されているかどうかを追究した。通法に従って培養したRPC-C2A細胞から全RNAを抽出し、アガロースゲルで分離した後、ノーザンブロット分析を行った。プローブとして〔^<32>P〕標識OPNcDNAを用いた。その結果、RPC-C2A細胞は約1.5kbのOPNmRNAを発現していることが明らかとなった。これは、骨や腎臓で認められるOPNmRNAのサイズと類似していた。次に培地に1,25D_3を添加した場合のOPNmRNA発現に及ぼす影響を調べた。1,25D_3は、10^<-9>,10^<-8>,10^<-7>Mの濃度に依存してOPNmRNAの発現を増強するとともに、添加後48時間まで、時間の経過とともに発現を促進した。また1,25D_3がOPN蛋白の合成レベルにおいても作用しているかどうかを調べた結果、〔^<32>PO_4〕標識OPN蛋白および〔^<35>S〕メチオニン標識OPN蛋白のいずれもが、1,25D_3の添加によって有意に上昇していた。これらの結果は、活性型ビタミンD_3が歯髄OPNの発現をmRNAレベルで制御することによってOPN蛋白の合成を促進したことを示している。以上の事実から、歯髄細胞がOPNを合成分泌すること、さらにその合成が活性型ビタミンD_3によって遺伝子レベルで制御されていることが明らかとなった。
|