研究概要 |
私はすでにヒト骨髄および臍帯血中の血液幹細胞からの破骨細胞の形成系を確立した(Endocrinology,126:2733,1990)。今年度は、この形成系を用いて、LPSが破骨細胞の形成にどのような影響を与えるのか検討を加えた。その結果、(1)ヒト破骨細胞様細胞の形成系でLPSは多核細胞の形成を促進した。この多核細胞はモノクロ-ナル抗体23C6(CD51;破骨細胞のビチロネクチンレセプタ-α鎖を認識)に陽性であり、その形成はLPSの濃度依存的(1ー100ng/ml)に促進した。(2)LPSを破骨細胞前駆細胞であるCFUーGMに作用させると培養液及び細胞中にインタ-ロイキンー1の産生が確認できた。(3)LPSと抗インタ-ロイキンー1抗体を同時添加すると23C6陽性多核細胞の形成は抑制された。これらの結果よりヒト破骨細胞形成系でLPSが破骨細胞の形成を促進することを明らかにした。この促進作用はインタ-ロイキンー1を介し、破骨細胞の前駆細胞であるCFUーGM自らインタ-ロイキンー1を産生してことも明らかにできた。
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