ヒト骨髄細胞および臍帯血中の血液幹細胞から、in vitroで破骨細胞の分化と形成を調べる実験系を用いてLPSが、どのようなメカニズムで破骨細胞の形成を促進しうるか検討した。ヒト破骨細胞様細胞の形成:ヒト臍帯血は患者の同意のもとに採血された。遠心比重分離法を用いて単核白血球層を分離し、非付着性の未分化の細胞を集め実験に用いた。96multiwell plateに1×10^5cells/wellの細胞を20%馬血清存在下α-MEMで播き、種々の濃度LPSを添加し、培養を行い破骨細胞様細胞の形成を行った。この培養系では、3週間で多核細胞の形成が認められた。LPSの添加で濃度依存的に23C6陽性多核細胞の形成が促進し、100ng/mlで最大の形成を観察した。この作用は、培養液中に抗IL-1抗体を添加することにより23C6陽性多核細胞の形成が阻止された。さらに、破骨細胞の前駆細胞であるCFU-GMにLPSを添加すると6時間で培養液および細胞中のIL-1αおよびβの産生が観察することができた。この促進作用は、IL-1を介して働くことが示唆されるとともに、これらIL-1を産生する細胞は、破骨細胞の前駆細胞CFU-GMであることが明らかになった。以上の結果よりLPSによる破骨細胞の形成は、血液幹細胞よりCFU-GMに分化しその細胞の分泌するIL-1がオートクラインに働いていることが示唆された。
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