研究概要 |
近年、歯周組織の再生に関し,歯齦結合組織由来細胞および歯根膜由来細胞の各々の機能的役割について多くの研究が行われている。これらの研究によれば,親根膜組織由来細胞が根面に集積すると石灰化組織である白亜質、骨の基質形成がなされ、新付着形成には、この種の細胞集積の必要性が唱えられている。そこで、歯周外科処置の際に、歯根膜由来細胞を速やかに根面歯冠側に移動する手術法がGuided Tissue Regenera実験で実際に新付着治癒が得られるか否かについて研究を行った。 〔材料及びに方法〕 1.実験動物としては成犬10頭を用い、GTR前にあらかじめ十分なプラ-クコントロ-ルを行った。 2.実験母地としてはm^1¬P^4¬P^3¬にフラップ手術を行った。m^1¬P^4¬P^3¬各歯根の近心根歯槽骨を横20mm縦5mm除去し、十分なル-トプレニングを行って完全に白亜質を除去した。3.実験群にはテフロン膜の保護膜で根面を被覆した。対照群では膜を応用せず歯齦弁を元の位置に戻して縫合した。 4.保護膜は術後4週で除去し、術後8週で屠殺、通常に従いホルマリン固定、脱灰、セロイジン包理、標本作製後、ヘマトキシリン・エオジン染色後、検鏡した。 〔結果〕 1.GTR群では、上皮の侵入はわずかであった。 2.GTR群では、日時の経過と共に根表面における白亜質新生量は増加し、新生した白亜質内にコラ-ゲン線維の侵入を伴った新付着の形成を生じていた。 3.対照群では、長い上皮性付着が認められ、結合組織性付着はわずかであった。 4.対照群における白亜質の再生は、新生した歯槽骨に対する根面に形成されているのみであった。
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