これまで調べた歯周ポケット内細菌とポケット内pHの関係から、ポケット内pHがアルカリで優位に存在してP.gingivalisと、酸性のポケット内で優位であったA.viscosus、S.milleriの3種を選んで。連続嫌気培養を行った。単独では、P.gingivalisはアルカリ性に、A.visxwsusは、A.viscosus S.milleriは酸性に至適pHがあった。混合連続培養の結果、P.gingivalisは、A.viscosusとの培養で十分な発育をしなかった。また、同じくS.millerisとの混合培養でも十分な発育をしなかった。ところが、pHが、8.0での培養では、P.gingivalisは十分な成育を示した。これらの結果から、P.gingivalisの多い歯周ポケットでは、ポケット内pHが高く A.viscosusや、S.milleriのような拮抗的役割をする細菌が減らしていることが示唆された。ついで、ラットの皮下にチャンバーを埋入させ、〓出液中での組織内培養を行ったところ、組織液中でもP.gingivalisは環境のpHをアルカリにさせることが判明した。また、A.viscosusはチャンバー内のpHを酸性にさせる作用がみとめられた。以上から、ポケット内の組織液(〓出液)中でも、同様の拮抗作用のある菌か、ポケット内のpHを変化させていることか示唆された。さらに、ポケット内に薬剤を投与する場合、pHの影響をうけるか調べるために、培地のpHをかえた条件下で、薬剤の感受性試験を行った。代表的な歯周病原菌を甲いたところ、pHの高い状態で、テトラサイクリン、ドキシサイタリン、ミノマイシンには、MICか低い細菌が認められた。
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