研究課題/領域番号 |
03670910
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小林 賢一 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (00170316)
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研究分担者 |
鈴木 哲也 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (60179231)
関田 俊明 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (90236092)
渡邊 竜登美 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (10230971)
守澤 正幸 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (40191019)
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キーワード | 全部床義歯 / 咀嚼 / 下顎運動 / 義歯の咬合 / 側方滑走 / テレメ-タ |
研究概要 |
本研究は、咬合器上で与える義歯の偏心運動時における歯牙滑走量について科学的に裏付けのある数値を求めることを目的としている。 今回開発したシステムは、すでに当教室で開発したテレメ-タシステムを改良し咀嚼時における第1大臼歯部での側方滑走量を無拘束状態にて計測することを可能とするものである。そのため、0.5mm間隔で咬合接触の位置が検知可能なスイッチを製作した。これは、中心窩に金属円柱を埋め込み、これを中心に0.5mm間隔で頬舌的に4枚の金属板を埋め込むものである。この金属スリットの部分に金属に置換した対合する上顎近心舌側咬頭が接触すると発信器の変調周波数が変化し、接触する位置が0.5mm間隔で検知できる。 本システムを75才女性および64才男性の2名に応用したところ、本システムが本実験の遂行に十分な機能を有することが確認された。さらに、咬合接触のデ-タをA/D変換ボ-ドを介して、コンピュ-タに入力すると同時にシロナソグラフを用いて下顎運動の記録も行い解析したところ次のような結果が得られた。 全部床義歯の非咀嚼側における歯牙滑走量は咀嚼の推移、および食品の物性によって変化した。特に咀嚼の初期における側方滑走量は比較的大きく、咀嚼運動の安定する中期では中心咬合位へ収束する傾向を示す。そして咀嚼の後期では嚥下の準備と思われる若干の滑走を示した。さらにこの傾向は、かまぼこやにんじんの咀嚼で顕著に認められ、ピ-ナッツ咀嚼では咀嚼全般で滑走する傾向を示した。 このように滑走の動態は従来咬合器上で考えられてきたものとは異なり、義歯床下粘膜の被圧縮性や機能時における義歯の変位などによると思われる複雑な動態を示した。これは従来行われてきた咬合器上での咬合調整について再考の余地を与えるものである。
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