研究概要 |
顎運動中における上下顎歯牙の咬合関係を3次元分析するために、6自由度顎運動測定と3次元形状計測を組み合わせた咬合分析システムを開発し、測方滑走運動における第一大臼歯の対合関係について分析した。顎運動を測方滑走運動とした理由は、記録が容易でかつ再現性が高く、咀嚼運動の滑走運動相にその運動経路が近いためである。咀嚼運動については、実験条件の設定が難しいため、今回の成果を踏まえ、今後検討していきたい。 顎運動の6自由度測定には、我々が開発した下顎任意点運動分析システムを利用した。この装置では、被験者の上下顎歯列に各3個の発光ダイオードを固定し、その3次元運動をPSDカメラにより測定する。咬合面の形状計測には、レーザースキャン方式の3次元ディジタイザを用いた。このシステムは科学研究費補助金一般研究(C)(課題番号01571064)の補助により開発したもので、咬頭嵌合する2つの咬合面の3次元形状を計測する事ができる。 対合関係は次の方法で定量化した。まず上顎咬合面のすべて点について反対の咬合面との最短距離を求めた。その距離が0.3mmと1.0mmになる領域の面積(S(0.3),S(1.0)で表す)で近接関係を定量化した。この面積は、離開が大きいほど減少する。 S(1.0)の測方偏位に伴う減少は、予想されるように、作業側が非作業側よりも小さかったが、S(0.3)の減少は、両側で違いが認められなかった。この結果から、近接する咬合面の領域に限れば、咬合面間の離開は、両側で違いが少なく、非作業側でもかなり近接していることがわかった。
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