研究分担者 |
山賀 保 大阪大学, 歯学部, 講師 (30127310)
荘村 泰治 大阪大学, 歯学部, 助手 (10154692)
寺岡 文雄 大阪大学, 歯科部, 助手 (00099805)
高橋 純造 大阪大学, 歯科部, 助教授 (80029149)
木村 博 大阪大学, 歯学部, 教授 (70036218)
|
研究概要 |
我々は,天然歯根膜が有する結合性と外力の吸収緩和作用の両者を具備した人工歯根膜の開発をめざして研究を進めている。本研究では,まず徹底的に天然歯根膜の生体接着特性を検討し,その形態とメカニズムの解明に努めることにした。 天然歯根膜は,単純な薄膜ではなく,シャルピ-線維を備えた線維束がセメント質や,槽骨にくい込んだような形態を有している。この化学的,機械的結合を巧みに取り入れた生体接着の歯根割面を走査型電顕により観察した。その結果,従来考えられていた以上に強固な機械的アンカ-効果で結合している様子が確められた。また,備品として購入した偏光顕微鏡を用い,天然歯および人工膜の膜厚を測定したところ,硬組織と膜との界面がかなり明瞭に区別でき,接着特性を観察する一つの有力な手段になることがわかった。なお,独自に開発した波形デ-タ処理システムにより、歯根膜の動力学的解析が可能となった。 このように,天然歯根膜の形態観察については,走査型電顕の使用により,かなり目的を達成することができた。しかしながら,力学的性質の検討については天然歯根膜が予想以上に,はるかに複雑であるところから,定量的測定幹困難であった。目下,独自に波形デ-タ処理システムを考案改良しており,測定の目処がついたので,来年度は,より定量的な研究が行えるものと思われる。なお,人工歯根膜の作成に関しては,膜厚の調査を偏光顕微鏡(備品)を用いることにより可能となったので,来年度以後は,より天然歯根膜に近い形態に作成して行きたいと考えている。
|