研究概要 |
義歯性口内炎の原因の一つとしてデンチャ- プラ-ク中の真菌が挙げられ、なかでもカンジダ属が義歯性口内炎患者から高頻度に検出されている。この予防・治療法として、現在、義歯洗浄剤による化学的プラ-ク コントロ-ルが普及している。しかし、洗浄剤の中には床用材料の劣化を生じるものや、洗浄効果の十分でないものもあり、改善が求められる。 本研究では、生薬に着目し、義歯性口内炎患者から高頻度に検出される3種のカンジダ属に対する抗真菌活性を検討した。その結果活性の認められたものについて、その生薬成分を添加した一般的配合組成を持つ試作洗浄剤を調製し、真菌の発育阻害活性を検討した。 その結果、以下の知見が得られた。 1.生薬単一のスクリ-ニングにおいて、四級アルカロイドを含有する黄連、黄柏が強い真菌発育阻害活性を示した。 2.1で活性を示した生薬に共通する成分塩化ベルベリンについて、カンジダアルビカンス、カンジダトロピカリス、カンジダグラブラタの3菌株に対する最小発育阻害濃度を検討したところ、各々,1.0,125,0.5mg/mlであった。 3.2の結果に基づき、塩化ベルベリンを添加した一般的配合組成の洗浄剤を試作し、カンジダアルビカンスに対する発育阻害活性を検討したところ、一部に相殺効果が認められた。
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