研究概要 |
欠損歯列者の補綴処理においてはその第一要件として下顎位が正しく回復されることが要求される。中でも咬頭嵌合位の的確反回復を如可にさせていくかは補綴学に課せられた大きな問題である。今年度の研究として, 1)義歯、特に咬合支持を欠く,遊離端教歯における咬合反支持の配分について支台歯,欠損部顎堤の役割を明確にした。これに遊離端義歯において石床部床適分状態,外形は一定とし,既に実験的研究により明らかとされた種々異なる連結強度を有する支台装置を遂次適用し,この脳の有床部へ加わる全咬合力が台歯と欠損部顎堤へ配分される役割をみたものである。実験の結果、支台装置の連結強度が小さい場合には咬合力はかなりの割合(70〜60%)粘膜角担となるが,連結強度が大きい場合にはその割合は20%と小さくなり,義歯床も極めて小さくなった。 2)遊離端義歯における咬合採得法について臨床的技法を下顎位再現の精度という点から評価したところ,有床部即ち,咬合床が安定するように残存支台歯に何らかのレスト装置と設定することが下顎位再現上有効な技法であることが示された。咬合採得時の患者に対する咬合の仕方についての誘導は,軽くタッピングさせる方が強く噛みしめさせるよりも下顎位の再現上有効であることが示された。この点につき,咬合の仕方によっては最絡義歯の咬合が過高となる(Supraoccluston)場合と低位となる場合(lntraoccluston)の2つの事例が下顎位の分析から具体的に示された。
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