研究概要 |
若年者の幼若永々歯における歯牙破折や高度のう蝕による歯髄疾患の治療は,根尖が未完成であるために機械的な根管充填が難しく,現在,水酸化カルシウム製剤を用いたapexificationによる生物学的な根尖閉鎖の促進が図られているが,改良の余地が残されている治療法である。 本講座ではこれまで骨形成因子(BMP)に関する研究が行われ,歯牙象牙質にもBMPが存在することを見出したが,このことはBMPが象牙質の形成に関与することを示唆するものと考えられる。本研究では,BMPを根管内に移植した場合の作用を評価・検討し,従来の治療法よりも術式が容易で効果が確実な根尖閉鎖術を開発し,根未完成歯の根尖閉鎖に応用することを目的とする。今年度は以下のように研究を進めた。 1)イヌの犬型脱灰切片作製のため,ミクリト-ムを購入した。 2)BMPの部分精製…ウシ大腿骨を0.6N塩酸で脱灰し,これを4M塩酸グアニジンで抽出し,濾過・透析・遠心し,沈殿物を部分精製BMPとして実験に用いた。 3)BMPによる根尖閉鎖実験…雑種成犬の下顎犬歯を脱髄し,根管拡大を行った後,BMPで根管充填を行い,仮封した。対照実験として水酸化カルシウム製剤で根管充填を行った。 4)根尖閉鎖の評価・検討…根管充填後,1か月毎にX線撮影を行い,根尖閉鎖の状態を観察中である。 5)組織学的観察(予定)…時期を定めて組織標本を作製し,BMP根管充填後の根尖閉鎖に対する有効性を評価する。
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