研究課題/領域番号 |
03670940
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 正治 新潟大学, 歯学部附属病院, 助手 (80195792)
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研究分担者 |
河野 正巳 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (20170201)
長峯 岳司 新潟大学, 歯学部附属病院, 講師 (20126436)
中島 民雄 新潟大学, 歯学部, 教授 (10014010)
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キーワード | 顎変形症 / 顎口腔機能 / 咀嚼能率 / 咬合接触点数 / 咬合接触面積 |
研究概要 |
未治療の下顎前突者群25名、外科的矯正治療後1年以上経過した下顎前突者群22名、正常咬合の対照者群30名について、咀嚼機能を評価するために咀嚼能率と咬合接触点数および咬合接触面積の測定を行った。咀嚼能率の測定には、腸溶性被膜を施したATP顆粒を用いた。5gのATP顆粒を50回習慣性咀嚼側で咀嚼させて蒸留水で含嗽させた後、それを蒸留水で2リットルに希釈して、溶出したATP量をその濾過液の259nmにおける吸光度として分光光度計を用いて測定し、咀嚼能率とした。咬合接触状態の測定には、シリコ-ンブラック法を用いた。ブラックシリコ-ン印象剤を用いて咬頭嵌合位にて採得したシリコ-ンバイトをシャ-カステン上に置き、シリコ-ンバイトの上方からCCDカメラによって画像処理装置に画像を入力し、その透過光から咬合接触点数と咬合接触面積を算出した。その結果、未治療者群の平均の咀嚼能率は0.56absで、対照者群の1.14absの約半分の値を示し、治療終了者群も0.68absと未治療者群よりわずかに高い値を示したのみであった。咬合接触点数と咬合接触面積においても、対照者群がそれぞれ29.1と34.2mm^2であるのに対し、未治療者群で14.0、11.8mm^2、治療終了者群でも16.1、10.9mm^2とかなり低い値を示し、未治療者群と治療終了者群間に有意差は認められなかった。一方、咀嚼能率と咬合接触点数および咬合接触面積の間には高い相関関係が認められた。 今回の結果からは、咬合接触状態が咀嚼能率に影響を及ぼす因子の一つであることと、手術や矯正治療によって上下顎歯列の咬合関係が著明に改善しても、手術後1年における咬合状態は十分には緊密ではないといはことが確認された。今後さらに、筋電計による咀嚼筋の分析を行うことにより、咀嚼機能の総合的な評価を行いたいと考えている。
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