研究課題/領域番号 |
03670945
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中澤 光博 大阪大学, 歯学部附属病院, 助手 (70217701)
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研究分担者 |
墨 哲郎 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
森山 知是 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員
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キーワード | 口腔癌 / 再発 / 後発転移 / 予後因子 / COXの重回帰型生命表法 |
研究概要 |
口腔癌の予後に影響を与える因子について、Coxの重回帰型生命表法を用い、他の因子の影響を除外した個々の因子の重みを評価することにより、予後に対して重要な因子を調べた。解析には,Beccel社のBeccel MarkII Ver.4を用いた。対象は、扁平上皮癌患者ー次症例385例(1978年4月〜1990年12月)である。調査項目は、患者側因子としてT、N、肉眼所見および組織学的悪性度(ヤコブソン)、また治療因子として化学療法の併用の有無、放射線(化学療法)組織学的効果、維持化学療法や免疫療法の有無である。統計学的に極めて重要と思われた因子は、T、N、組織学的悪性度、維持化学療法の有無の4因子であった。また、肉眼所見および一次治療における化学療法の併用については、一部関連が認められたが予後因子から除外した。その他の因子については、予後にはほとんど影響しなかった。T因子については、50%再発率・後転移率により、T1ー2、T3およびT4の3群に層別化するのが適当であった。N因子については同様にN0ー1、N2およびN3に層別化した。組織学的悪性度は、19ー20点を境として予後に大きな違いの生じることが判明した。術後の維持化学療法は施行した方が予後は良好であった。これら4つの因子について再発・後発転移の発現までの潜状期をCoxのモデルから50%再発率・後発転移率を示す日数を計算し、比較した。T因子については、T1ー2がそれぞれ5798、5798日、T3では3095、3095日、T4では858、613日であった。N因子についてみると、N0ー1がそれぞれ5798、5798日、N2は3045、3124日、N3は280、242日であった。組織学的悪性度は18点以下ではすべて5798であったが、19点ではそれぞれ3095、3124日となり、点数が増加するにつれ、潜状期間は短縮する傾向を示した。また、回帰係数と予後デ-タの積によりこれら4因子を加味して総合的にリスク値を求めることができ、4つの因子から予後の予測が可能となるモデルが作製できた。
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