研究概要 |
換気・血流比を適正に保つための機構を検索するため、ブタ気管支平滑筋と肺動脈平滑筋リングを作成し、これに蛍光カルシウム指示薬Fura-2/AMを負荷し等尺性張力と細胞内カルシウム濃度変化を同時に測定した。 1.気管支平滑筋に対するハロセンの影響について ハロセンは臨床的に気管支収縮を抑制する。標本の潅流溶液を1〜4%のハロセンにて飽和し,K C1刺激を行って,収縮張力および細胞内カルシウム濃度増加を測定した。その結果、収縮張力および細胞内カルシウムを濃度依存性に抑制した。従って、ハロセンの気管支平滑筋収縮を抑制する機構として細胞内カルシウム濃度増加の抑制が示唆された。 2.気管支平滑筋に対するヒスタミンの効果について 気管支痙攣を発生するヒスタミンとその特効薬であるカフェインの気管支平滑筋に及ぼす影響を検索した。その結果ヒスタミンによる収縮の際、細胞内カルシウム濃度は、一過性の大きな増加と、その後の持続的な増加を示した。カルシウムを除いた溶液中では、ヒスタミンにより張力は減少した。また、細胞内カルシウム濃度上昇は一過性であった。従ってヒスタミンによる気管支平滑筋収縮においては細胞内外からのカルシウムがともに関与していた。 3.肺動脈平滑筋に対する酸素および二酸化炭素の影響について 高濃度酸素は高濃度カリウム刺激により発生する張力および細胞内カルシウム濃度増加を同時に増強した。また、高濃度二酸化炭素は高濃度カリウム刺激により発生する張力および細胞内カルシウム濃度増加を同時に抑制した。従って、高濃度酸素および二酸化炭素の張力に対する効果は細胞内カルシウム濃度変化を介していることが示唆された。
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