研究課題/領域番号 |
03670963
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
吉田 和市 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50200978)
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研究分担者 |
岡部 栄一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (50097276)
野口 政宏 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (50084728)
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キーワード | Sevoflurane / Free Radical / EDRF / Acetylcholine |
研究概要 |
これまでの研究においてSevofluraneによる内皮細胞依存性弛緩反応の抑制に活性酸素ラジカルが関与している可能性を摘出イヌ腸管膜動脈を用いたorgan bath studyおよび電子スピン共鳴装置(ESR)による研究から間接的かつ直接的に証明した。本年度はSevofluraneの内皮細胞機能におよぼす直接的な作用(内皮細胞依存性弛緩物質を投与しない場合の作用)をさらに精査するために、あらかじめNorepinephrineで収縮させた摘出イヌ動脈標本にSevofluraneを暴露させた。その結果、低濃度Sevofuraneは濃度依存性に血管を収縮させ、この反応は内皮細胞を除去した血管では観察されなかった。このことからSevofluraneは内皮細胞から何らかの収縮物質を放出させるかあるいはbasalに産生、放出されている内皮細胞依存性弛緩物質(EDRF)を不活性化させることが推察される。また5%以上の高濃度Sevofluraneは逆に動脈片を内皮細胞非依存性に弛緩させた。このことはSevofluraneが内皮細胞に対する作用のみならず血管平滑筋を弛緩させる作用をも有することが判明した。しかしそのメカニズムの解明は今後の課題である。 また、個体差の比較的少ないウサギ腸管膜動脈を実験材料に用いた実験結果からは以下のような知見を得るに至った。4%以上の高濃度SevofluraneはNorepinephrineによる用量反応曲線を右方移動させることからα-receptorを介する収縮反応段階に抑制的に作用する。またSevofluraneがAcetylcholineによるEDRFを介する弛緩を抑制するのに対してNitroglycerinによる内皮細胞非依存性の弛緩反応には影響をおよぼさないという結果はイヌ腸管膜動脈標本におけるデータと類似しており、Sevofluraneが内皮細胞依存性弛緩反応を抑制することを再確認した。
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