小児においてハロセン麻酔導入時にサクシニルコリン(以下Sch)を静脈内投与した場合に血清ミオグロビン値とCPK値(クレアチンフォスフォキナ-ゼ、以下CK値)が著明に上昇するが、今回、イソフルレン麻酔時の両値の変化、およびに血清電解質値(Na^+、K^+)の変化について検討し、ハロセンと比較した。 (対象と方法)全身麻酔下に小手術を受ける、2歳から12歳のASAリスク分類1の小児28名を対とした。両親に研究の趣旨を説明し承諾を得た。笑気・酸素・イソフルレンを用いて緩徐導入後、Sch1mg/kgを静脈内投与して気管内挿管を行なった。維持は、笑気・酸素・イソフルレンで行った。緩徐導入後に対照用採血を行い、Sch投与前、5分、20分、60分後の計4回採血を行った。検体は血清分離後凍結し、ミオグロビンはRIA法により、CKはロザルキ-変法により測定した。統計的検討はStudentのtーtestを用い、危険率5%未満を有意差ありとした。 (結果)ミオグロビン値とCK値は対照値に対して5分値から有意に上昇し、60分値で最高値を示した。ハロセン麻酔との比較ではミオグロビン値・CK値とも有意差を示さなかった。60分値はイソフルレン:ミオグロビン;2946±3579ng/ml、CK(/Contro1%);536±650%、ハロセン:ミオグロビン;2192±2217ng/ml、CK(/Contro1%);301±197%であった。電解質の変化については現在統計検討中である。 (考察)イソフルレンはハロセンと同様に血清ミオグロビン値とCK値を増加させると考えられた。 (学会報告)本研究については第39回日本麻酔学会(1992年4月9ー11日、福岡)と10th World Congress of Anaesthesiologist(1992年6月12ー19日、オランダ:ハ-グ)において発表の予定である。
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