研究概要 |
ヒト小臼歯の歯根から厚さ125mumの切片を切り出し、歯根表面の一部を実験面として残し、その他の部分をネイルバーニッシュで被覆した。この試料を脱灰液(0.01M乳酸緩衝液pH=5.1)に48時間浸漬して人工的に初期齲〓を形成した後、再石灰化液に7日間浸漬した。脱灰直後ならびに再石灰化1,2,7日後の計4回同一試料切片のX線マイクロラジィオグラム(MR)をアルミニウムステップウェッジ(ALW)とともに撮影した。MR写真の光学顕微鏡像をCCDカメラを介して画像解析装置に入力し、グレイスケール256階調、512×480画素のディジタル画像を得た。各MRごとに、ALW各段階のディジタル画像上でのグレイ値とアルミニウム厚さ値の3次回帰式を決定し、この式からディジタル画像上の歯根試料のグレイ値をアルミニウム厚さ等価値に読み換え可能にした。さらに各画像の歯根健全部のアルミニウム厚さ等価値が厚さ100mumの健全歯根切片になるように変換して、画像間での比較を可能にした。深さ方向に1画素(0.91mum)水平方向に55画素(50mum)のスキャンの大きさでアルミニウム厚さ等価値を走査した。また各ディジタル画像は定量的に定義されたカラースケールによる疑似カラー化を行うことによって再石灰化の進行過程を評価した。 これらの方法により、同一試料の再石灰化によるミネラル量の変化が経時的に定量化できるとともに、どの部位においてミネラルの変化が起こっているかということが疑似カラー化によって評価できた。
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