研究概要 |
歯の移動による骨吸収と添加は,骨の活性化→吸収→逆転→形成というリモデリングの順序に従って起こるといわれている.矯正力による骨の反応は,組織動態として計測する必要があり,顎骨の応力との関連について正確に把握できているとはいえない.そのため,有限要素法を用いた応力解析とイヌ下顎骨骨皮の曲げ試験により,矯正力に対するイヌ下顎骨の生力学的反応を検討するとともに,矯正力負荷時の骨の形状変化と応力との関連性について明らかにした.本研究では,矯正治療が困難である骨格性の下顎前突,開咬を伴う上顎前突は,筋肉,骨格系の異常として思春期に増悪される.治療にあたっては,顎骨の成長とリモデリングに関係している因子を制御することが必要である.その因子として顎骨の内部に発生する応力が骨の形成に影響すると考えられる. 本実験では, 1)イヌ顎骨の三次元有限要素法モデルを作成し,応力が顎骨の成長とリモデリングに果たす役割を検討した. 2)矯正力が顎骨のリモデリングにおよぼす影響を動物実験によってモルフォメトリ-を用いて明らかにした. 3)モルフォメトリ-のためプログラムをパソコン(MSーDOS)用に開発した. 今年度は基礎的な研究に重点をおき,より精度が高い三次元有限要素モデルを作成した.
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