研究課題/領域番号 |
03670981
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鐘ケ江 晴秀 昭和大学, 歯学部, 助教授 (90119173)
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研究分担者 |
篠原 親 昭和大学, 歯学部, 助手 (00235558)
斉藤 茂 昭和大学, 歯学部, 助手 (20195986)
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キーワード | 歯の移動 / 矯正力 / 半導体レーザー / 減光率 / 超音波振動 / 歯周組織 |
研究概要 |
半導体レーザーと超音波エネルギーによる歯の移動促進効果を検討するために、ウイスター系雄性ラット8群60匹の臼歯の移動時に上記エネルギーを添加する実験を前年度に続き行った。Waldo法による上顎第一臼歯の近心移動で評価することとし、15日間の実験期間に、超音波実験群には1Wの出力の超音波振動を30秒間計3回加え、ソフト・レーザー実験群には、60mWの連続波を2分間計4回加えた。【結果】超音波振動を与えたU群では、歯髄の変性に加え、歯根膜での炎症性変化の著しい増大・歯根吸収さらには著名な歯槽骨の吸収像を認めた。また骨の形成は多くの個体で認めなかった。一方レーザーを照射したL群を対象群と比較すると、歯根膜の修復過程が進行しており、歯槽骨の吸収も活発ではあるが、骨添加が同調していた。歯槽骨内部の血管増殖も多く、U群で認めた一方的な骨の破壊像とは大きく異なっていた。両者を共に投与したUL群では、U群より弱いものの歯髄の変化が生じていた。歯周組織における変化では、U群と比較し歯根膜の再生は順調であるが、L群より歯槽骨の添加は劣っていた。今回の結果からは、ソフト・レーザーの照射により矯正学的歯の移動に伴う歯根膜の再生や歯槽骨の添加が促進されることが充分に伺われた。また骨吸収系が励起されている可能性も否定できない。次に、超音波振動は矯正力により歯にたいては歯周組織のみならず歯髄にたいしても破壊的に作用し、その修復過程を著しく疎外することが判明した。また、投与にたいする反応の個体差が大きく、コントロールの困難な点にも問題がある。組織の修復機転と同調させるためには、ソフト・レーザーのような修復作用を促進する作用をもつ処置と併用するなどの必要があろう。
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