研究概要 |
本年度はミダゾラム経鼻投与と笑気吸入鎮静法の臨床効果に影響する諸要因の検索を行った。 調査対照:行動変容技法によるトレーニング後の笑気吸入鎮静法下の歯科治療時にマスク装着やガス吸入に抵抗し,歯科治療が極めて困難であった心身障害児のうち,ミダゾラム経鼻投与と笑気吸入鎮静法下で浸潤麻酔を含む歯冠修復処置を実施した19名を以下の2群に分類し調査した。 有効群(10名):治療開始から終了まで全ての過程において拒否的行動が全く認められなかったもの。 無効群(9名):治療開始から終了までの過程の何れかにおいて拒否行動が認められたもの。 分析:2群間において,暦年齢,体重,投与薬液量,投与用量,治療時間の長さ,障害の種類,性別および発達年齢について比較検討した。その結果の概要を以下に示す。 1)暦年齢は有効群15歳10カ月±4歳8カ月,無効群10歳6カ月±3歳6カ月で両群間に統計的な差が認められた。 2)ミダゾラムの投与用量0.2mg/kgと0.3md/kgにより両群間の差は認められなかった。 3)体重,性別,投与薬液量,投与用量,治療時間の長さによる両群間の差は認められなかった。 4)障害の種類では精神発達遅滞が自閉症に比べ高い有効率を示した。 5)発達年齢は有効群が相対的に高い年齢を示しているが、両群間に統計的な差は認められなかった。 本年度はさらに今までに得られた成果の一部を論文発表した。
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