研究概要 |
腸内細菌によるイリドイドおよびセコイリドイドの代謝研究の一環として、山梔子の成分であるゲニポシド、ガルデノシドを取り上げた。これら化合物はヒト腸内細菌分離株、ヒト糞便から調製した腸内細菌混合物とインキュ-ベ-ションすることにより、新規モノテルペンアルカロイドのゲニピニン、ガルデニンに変換された。これらの構造は、核磁気共鳴、マススペクトルなどの分析手段により決定した。又、液体クロマトグラフ・質量分析計を用いて分析を試みたところ、ヒト腸内細菌分離株、ヒト腸内細菌混合物のいずれから得た代謝物においても、これらアルカロイドは明瞭に分離、定量できることが判明した。特に、selected ion monitoring(SIM)法による定量はLCーMSの分野では今まで試みられていなかったが、これら代謝物の定量に非常に有益であることがわかった。ヒト腸内細菌分離株中、Peptstreptococcus anaerobius,Klebsiella pneumoniae,Fusobacterium nucleatum,Bacteroides fragilis ssp.thetaotusからは比較的多量のゲニピニンを得ることが出来た。ヒト糞便を用いた場合、これらアルカロイドの産成はさらに多くなることが示された。LC/MSによるマスクロマトグラム、マススペクトルの解析からゲニピニン以外にも、二量体、三量体、さらに多くの重合した化合物と思われる代謝物が生成していることがわかった。今後さらに多くの事例を検討すると同時に、これら代謝物の生物活性を調べるため、化学合成を行なう予定である。
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