研究概要 |
抗アレルギー作用の指標となるマストセルからのヒスタミン遊離抑制活性の測定法に改良を加え、多量の検体をより正確にしかも迅速に測定出来るようにした。 主としてフィリピン産の民間薬の中から抗アレルギー作用並びに抗炎症作用に用いられているものを選定し、上記の系においてヒスタミン遊離の抑制活性を測定したところ、ムラサキ科:Ehretia microphylla,E.philippinensis,Cordia myxa,クマツヅラ科:Vitex negundo,Premna odorataなどに活性が認められた。 特に強い活性を示したムラサキ科のフクマンギ(Ehretia microphylla)ならびにその同属の植物でフィリピン特産のE.philippinensisに関して重点的に研究を行なった。前者からはrosmarinic acid及び、非環状ジテルペン配糖体2種を単離し、各種機器分析の結果よりその構造を決定した。この配糖体は、phytolの誘導体であるが、胃潰瘍治療薬として最近天然より得られて、市販されているplaunotolに類似した構造を有するため、構造と活性の相関に興味が持たれる。さらに、同植物から活性物質を単離し、機器分析によりallantoinと同定した。これは既知化合物ではあるが、創傷治癒促進作用が知られているため、フィリピンで広く用いられている本植物の活性本体の一種であり、本植物の有効性が確証された。 現在までに全く研究の行なわれていないE.philippinensisのメタノールエキスからはヒスタミン遊離抑制活性のの本体としてRosmarinic acidが多量(3.5g)に得られた。このものの活性は以前から知られているが、その著しく高い含量は注目され、新しい資源植物として期待される。 さらに、湿疹などのアレルギー治療に用いられるキク科のPseudoelephantopusspicatusより、新規のセスキテルペンを単離・構造決定した。(投稿受理)
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