研究概要 |
平成3年度は、bullatacin1の合成を計画し、ビステトラヒドロフラン環部分およびα,βー不飽和ブチロラクトン部分の立体選択的な合成に成功した。 bullatacin1の絶対配置は未知であるので、まず、図に表示した配置を持つ化合物の合成を検討した。天然型のLー酒石酸誘導体2から、炭素鎖の伸張、アリルアルコ-ル体の香月ーSharpless不斉エポキシ化反応、アルコ-ル基の保護などの反応を経て、ジエポキシ体3を得た。3をH_2OーMeOH中酸触媒(BF_3OEt_2)で処理すると、定量的かつ選択的にテトラヒドロフラン体が得られた。これを鍵中間体4に誘導した。 鍵中間体の一つであるラクトン部分6の対絶配置は、最近の報告から図に示した配置であると考えられる。そこで、(S)ー乳酸から得られる光学活性アルデヒド5を用いたアルド-ル反応を鍵反応とする合成法を開発した。この方法は緩和な条件で行えるため、不斉中心の異性化が防げるものと期待される。 次年度は、本年度で得られた鍵中間体を用いて、bullatacinおよび構造類似体の合成を完成し、生物化学的および放射化学的な検討を行う予定である。
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