研究概要 |
ウコギ科植物成分研究の一環として、日本産ハリブキ(Oplopanax japonicus N_<AKAI>)と中国産刺人参(Oplopanax elatus N_<AKAI>)の成分を比較検討する目的で本研究に着手した。日本産ハリブキおよび中国産刺人参の薬を用いた前年度までの成分研究により、ハリブキから2種のフラボノイド配糖体と4種のトリテルペノイド配糖体が単離構造決定されまた刺人参からは、すでにハリブキから得られた2種のフラボノイドと2種のトリテルペノイド配糖体に加えて、新たに8種のトリテルペノイド配糖体が単離構造決定された。本年度は長野県富士見町で採集したハリブキの根を用いて成分研究を行った。ハリブキの乾燥根皮をメタノールで抽出し、得られたメタノールエキスを多孔性樹脂(DIAION HP-20)カラムクロマトグラフィーに付し4つの溶出画分(10%メタノール、60%メタノール、メタノール、アセトン)に分画した。比較的極性の高い成分を含む60%メタノール溶出画分からは既知化合物syringinとconiferinを単離同定し、さらに新物質としてdeca-4,6-diyn-1,10-diol 1-O-beta-apiofuranosyl(1→2)-beta-D-glucopyranosideを単離構造決定した。またメタノール溶出画分から新物質としてheptadeca-9-ene-4,6-diyen-3,8-diolを単離構造決定した。ハリブキの根の成分については現在さらに検索を続行中である。
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