研究概要 |
植物由来の化合物で、生物活性化合物のリ-ド化合物となりうる新しい天然物の探索を目的として、ミカン科、ミカン属およびゲツキツ属植物、ハスノハギリ科植物およびシキミ科植物について成分検索を行なった。 1.ミカン科ミカン属植物の成分検索、並びに新化合物の構造研究 (1)Citrus hassaku(ハッサク)から、新しいクマリン5種および、新しい2量体クマリン2種を単離し、それぞれ構造を決定した。これらのうち、citrusarinーA,ーBについては、スペクトルの解析のみでは構造の証明が不可能であるため合成によって構造を決定した。 (2)Citrus sulucata(サンボウカン)からは、新しいクマリン2種を単離、構造決定した。このうちperoxytamarinは、天然から得られたパ-オキシ体としては4番目の例である。 (3)Citrus yuko(ユ-コ)からは、新しいアクリドンアルカロイド2種を単離、構造決定した。 2.ミカン科ゲツキツ属植物の成分検索、並びに新化合物の構造研究 台湾産Murraya euchrestifoliaについて、成分検索を行ない、新しいカルバゾ-ルアルカロイド13種、2量体カルバゾ-ル2種を単離し構造を証明した。 3.ハスノハギリ科植物ハスノハギリについて、ポドフィロトキシン類縁化合物の探索 石垣島産ハスノハギリ果実の成分を検索し、ポドフィロトキシンはじめ既知の類縁化合物を単離するとともに、新しい化合物1種を単離し構造を証明した。(内容はChem.Pharm.Bull.に投稿中) 4.シキミ科植物アカバナシキミの成分検索は実施中であるが、現在のところ新化合物は得られていない。
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