研究概要 |
種々のNーアルケニルー2ークロロアセトアミド類を沸騰トルエン中、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)存在下トリブチルチンヒドリド(Bu_3SnH)で処理するとカルバモイルメチルラジカル(>NーCOーCHー)が発生し、分子内のアルケンと反応して環化成績体であるラクタムが得られる。以下に具体的な成果を列挙する。 1.(±)ーメセンブラノ-ル及び(±)ーエルベシンの立体選択的合成。 Nー(シクロヘキセンー2ーイル)ー2,2ージクロロアセントアミド誘導体をBu_3nHで処理するとcisーオクタヒドロー2ーインドロン誘導体を与えることを見出した。この反応を用いて標記アルカロイドの合成に成功した。 2.Nー(0ーアルケニフェニル)ー2,2ージクロロアセトアミド類の環化。 1ーアルケニル誘導体を触媒量のAIBN存在下、2.2当量のBu_3SnHで処理すると、アルケン上の置換基の位置によってキノリンー2ーオンまたは2Hー1ーベンズアゼピンー2ーオン誘導体を与えることを見出した。また、2ープロペニル誘導体を同様に処理すると2Hー1ーベンズアゼピンー2ーオン及び1ーベズアゾシンー2(1H)ーオンを与えることが分かった。現在、本反応を用いてマイトマイシンの合成を検討している。 3.Nービニルー2ークロロアセトミド類の環化(±)ーコチニンの合成。 Nー(シクロヘキセンー1ーイル)ー2ークロロアセトアミド誘導体を触媒量のAIBN存在下Bu_3SnHで処理すると,高収率でオクタヒドロー2ーインドロン誘導体を与えることを見出した。本反応はNー(1ーアリ-ルエテニル)ー2ーハロヌはビス(フェニルチオ)アセトアミドでも進行し,対応する5ーアリ-ルピロリジンー2ーオンの誘導体を与えることを見出した。この反応をニコチンの代謝物である(±)ーコチニンの合成に応用した。
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