研究概要 |
海洋微生物から単離されたオキサチアゼピン環を持つβーカルボリンアルカロイド,ユ-デイストミン類(1)は強い抗ウイルス活性を持つ化合物である.この(1)の抗ウイルス活性の構造活性相関を研究する上で,格好の化合物と考えられる(1)の12(S)ーカルバユ-デイストミン類縁体(2〜6)の合成を目的として現在までに次の事柄を明らかにした.1.オキサゼピン体(7)の量産:トリプタミンから数工程で合成されるアゼチジン体(8)のmCPBA酸化により(7)を3〜5gスケ-ルで合成するル-トを確立した.2.非天然型12(S)ーカルバユ-デイストミン(2)の合成:(7)の接触還元,KOH/18ークラウンー6による加水分解により,高収率で飽和カルボン酸が合成された.次いで,混合酸無水物により酸アジドに導き,ベンジルアルコ-ル中でのクルチウス転位によりベンジルウレタンに導いた後,MeOH/EtOAc(1:1)中での接触還元によりアミン体(2)が合成された.この際,同時に得られてくる尿素誘導体(3)と共に坑ウイルス活性を現在調べているところである.3.インド-ルNー無置換誘導体の合成:インド-ルの保護基としてベンゼンスルホニル基を導入し,アゼチジン体(9)の合成に成功している.(9)のmCPBA酸化によりオキサゼピン体(10)に誘導し,接触還元により飽和エステルとした後,Mg/MeOHによる脱スルホニル化により(11)を高収率で合成することが出来た.現在,(2)の合成ル-トに従い,(11)から最終目的物であるインド-ルNー無置換アミン体(5,6)の合成が進行中である.
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