研究概要 |
構造的に多様な(non-congeneric)有機化学物質の有害性を,その化学構造から予測するために,non-congeneric QSAR解析に最適な方法を開発し,次いで各種有害性・安全性に関する予測式の創出と信頼性評価を行った。 1.ファジィ適応最小二乗法の開発:有害性に関するデータは,通常,出典が多岐にわたるため,等級として扱うのが適当である。生物活性が等級で表されているデータのQSAR解析の手法として,本法を開発した。 2.疎水性定数(Log P)の簡易推算:化合物分子の疎水性定数Log P(P:オクタノール/水分配係数)が毒性と相関が高いことが報告されている。そこで,多様な構造に適用可能なLog P簡易推算法を開発した。 3.構造記述子の自動抽出:構造的に多様な化合物のQSAR解析においては,分子構造の特徴を表すパラメータとして,数多くの部分構造記述子を用いる必要がある。それらを構造式から抽出するプログラムを作成した。 4.有機化学物質の水棲生物毒性の予測:水棲生物に対する急性毒性データ(394化合物)を解析し,良好な予測モデル(適中率:識別85.3%,予測80.5%)を創出した。 5.有機化学物質の人体経口急性毒性の予測:人体に対する経口急性毒性データ(504化合物)を解析し,良好な予測モデル(適中率:識別88.1%,予測83.5%)を創出した。 6.有機化学物質の発癌性及び変異原性の予測:げっ歯類に対する発癌性(246化合物),サルモネラ菌を用いた変異原性(244化合物)のデータを解析し,良好な予測モデルを創出した。 7.有機化学物質の生分解性の予測:土壌微生物による生分解性データ(2類463化合物,3類796化合物)を解析し,良好な予測モデルを創出した。
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