研究概要 |
平成4年度においては前年度に作成したスペクトル空間分離解析システムのハード面,ソフト面の両面にわたる改良を中心に検討を行い,下記の成果を得た。 1)位置情報を取得するための磁場勾配発生装置として,磁場勾配コイルならびに電源部分の設計が終り,現在その性能検査を行っている。現在の所,当所の目標がほぼ達成できるものと推定している。 2)上記の磁場勾配発生装置をコンピューターで自動制御し,かつデータを高速取込みするためのシステムの基本設計と実行のための予備的検討を終了した。この方法では磁場勾配発生装置をディジタルーアナログ変換器を介して制御するシステムで,従来のGP-IB制御方式に較べ,100倍以上の高速化が可能となった。又,データの高速取込みに関しても,システム全体を改良した為に秒単位での取込みが可能となり,代謝反応や吸収排泄反応を伴う生体内ラジカルの測定に本システムを適用することが具象化する見通しがついた。 3)ESRスペクトルを空間分離表示するための計算処理プログラムについて,種々の基礎的検討を重ねた結果,従来CT法で用いられているフーリエ変換法によるデコンボリューション・フィルター法では不充分であることが示唆された。そこで遂次法を組込むシステムを採用することとし,実測スペクトルに適用したところ,実用に供しうる空間分離表示が可能となった。 4)以上の他に,実際に動物実験を行い,ESRスペクトルについて基礎的データを蓄積しつつある。
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