本研究は、医学、生物学的に重要視されている活性酸素種の内、ス-パ-オキシドラジカル(O^ー_2)を複雑な生物系においても測定しうる自動測定方法を確立することを最終目標にしている。平成3年度では、不安定なO^ー_2を捕獲するために我々が開発したpHーJump法を用いて、O^ー_2を捕獲定量しうる自動測定システムの製作を行った。本自動化測定システムでは、試料のサンプリング→pHーJumpによるO^ー_2の安定化→液体窒素温度での試料の固化→O^ー_2の定量に至る一連の操作を自動的に行うもので各ステップはコンピュ-タ-でコントロ-ルされている。本自動化システムを用いて、単純な酵素系(キサンチン酸化酵素系)及び好中球やNADPH酸化酵素系などの系で産出されるO^ー_<2ー>量を測定した。系が複雑になると、自動酸化反応や共存する二価金属イオンがO^ー_2の定量に影響をおよぼしてくることが明かとなってきた。自動酸化反によっては疑似的にO^ー_2が産生されてしまい、これを避けるために窒素ガス置換した低濃度アルカリ溶液を用いる方法に改良した。また、共存する二価金属イオンによって、捕獲されたO^ー_2のESRスペクトルの線形が変化し、バリウムイオンやカルシウムイオンは濃度依存的にO^ー_2のESRシグナル強度を増大させることを見いだした。 上記の研究以外に、生体内に取り込まれたニトロソ化合物からO^ー_2生成量の測定を本システムを用いて現在進めている。ニトロソ化合物、特にニトロソベンゼンは生体内の環元物質と反応してハイドロナイトロオキシドラジカルが生成されるが、このラジカルから酸素への一電子移動によりO^ー_2が産生されることを明らかにし、現在O^ー_2が産生量の測定とニトロソ化合物の毒性との関連性について検討を行っている。
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