1.血小板ー白血球相互作用における白血球側の分子構造に関して、糖鎖を識別するモノクロ-ン抗体やヒト白血病細胞膜およびヒト初乳由来のオリゴ糖鎖を用い、活性化血小板による白血球凝集の阻止試験により検討を加えたところ、シアル酸とフコ-スを含むルイスX型構造に類似した糖鎖構造が主要なものであることが示された。この構造が活性化血小板とよく接着を示す好中球や単球に豊富に存在し、接着を示さないリンパ球にはほとんど存在しないこととよく相関していた。 2.血小板ー白血球相互作用に及ぼす各種炎症性サイトカインの効果について検討を加えた結果、インタ-ロイキンー1(ILー1)およびインタ-フェロンγ(IFNーγ)が血小板ー白血球相互作用を増強することが判明した。この接着反応の増強の原因について、抗GMPー140モノクロ-ン抗体を用いた阻害実験およびフロ-サイトメトリ-により調べたところ、血小板表面へのGMPー140分子の表出が増加したためであることが推定された。また、この反応はカルシウムイオン依存性のものでEDTAにより阻止された。これらのサイトカインの効果は接着反応のみならず血小板からのセロトニン放出反応をも増強することがわかった。このことにより炎症性サイトカインが血小板活性化を制御している可能性を示し、血小板炎症過程において重要な役割を演じていることを示唆するものであった。
|