研究課題/領域番号 |
03671048
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
根岸 学 京都大学, 薬学部, 助手 (60201696)
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研究分担者 |
市川 厚 京都大学, 薬学部, 教授 (10025695)
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キーワード | プロスタサイクリン / トロンボキサンA_2 / プロスタグランジンE_2 / 受容体 / 肥満細胞 / アデニル酸シクラーゼ / ホモロジースクリーニング / PCR法 |
研究概要 |
プロスタサイクリン(PGI_2)受容体の分子構造を明らかにするため、まずPGE受容体の分子構造を明らかにすることを試みた。すでにその構造が明らかとなっているヒトトロンボキサン(TX)A_2受容体のCDNAの塩基配列を基にPCR法やホモロジースクリーニング法によりマウスのTXA_2受容体のCDNAをクローニングした。マウスTXA_2受容体は341個のアミノ酸よりなる分子量37Kのタンパク質であり、そのmRNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入し発現させると、アゴニストのSTA_2やU-46619により外向きのctカレントが流れ、TXA_2受容体がイノシトールリン脂質代謝亢進系にカップルしていることがわかった。ノザンブロットの結果、TXA_2受容体は主に胸腺、脾臓、肺に多く発現しており、免疫系細胞において重要な役割を果たしていることが予想された。 次に、クローニングしたマウスTXA_2受容体の_cDNAを基にホモロジースクリーニングを行ない、PGE受容体を多く発現していることが知られているマウス癌化肥満細胞からPGE受容体の_cDNAをクローニングした。PGE受容体には3種類のサブタイプの存在が示唆されているが、それぞれに特異的なリガンドの結合特異性を調ベた結果、クローニングしたPGE受容体はEP_3サブタイプであることがわかった。このEP_3受容体は7つの細胞膜貫通ドメインを持ち、G蛋白カップルのロドプシンタイプの受容体の構造をしていた。ノザンブロットの結果からEP_3は腎臓、子宮に最も多く発現しており、ついで胃、胸腺、肺、脾臓にも発現しており、EP_3を介した生理作用の発揮されている部位とよく一致した。クローニングしたEP_3のCDNAをCHO細胞に発現させてその情報伝達系を検討した結果、EP_3はアデニル酸シクラーゼ促進活性やイノシトールリン脂質代謝亢進の作用はなく、アデニル酸シクラーゼ阻害活性のみを示し、Gi活性を示すことによりその作用を発揮するものと考えられた。
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