研究概要 |
無麻酔およびペントバルビタール麻酔下における高血圧ラット(14週齢,日本チャールス・リバー)と対照のWistar‐Kyotoラット(WKY)の血圧に対するリゾホスファチジン酸(LPA)の効果を調べた。LPAは無麻酔下および麻酔下いずれにおいてもSHR(高血圧ラット)ならびにWKYの血圧を用量依存的に、かつ一過性に上昇した。実測値で示した場合,無麻酔下では0.3μg/kgから10μg/kgの薬物用量域でSHRの方がWKYに比し有意に大きい血圧上昇を示した。一方,ペントバルビタール麻酔下では全薬物用量域において両者に有意差は認められなかった。これに対し,変化率で示した場合,麻酔下で逆にWKYに比べSHRにおいて 30.100μg/kgLPAの昇圧率は有意に低かった。心拍数は,麻酔下,無麻酔下のどちらの場合も,SHR,WKYでともに一過的に減少した。 14週齢のSHRおよびWKYの胸部大動脈を速やかに摘出しラセン状標本を作製した。標本は37℃に保温して95%O_2と5%_2を通気した栄養液に浸し,LPAや保温血漿を加えてその張力の変化を観察した。栄養液としてKrebs-Henseleit溶液を用いた場合,LPA保温血漿による張力の変化は認められなかった。これに対し,栄養液がLocke溶液の場合,WKYおよびSHRより得た保温血漿の適用により弱い収縮が認められたが両者間の収縮力に差は認められなかった。一方,LPAでは逆に弱い弛緩作用がみられた。
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