研究課題/領域番号 |
03671067
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
堀江 利治 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90120154)
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研究分担者 |
林 正弘 東京理科大学, 薬学部, 教授 (20012669)
粟津 荘司 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (60012621)
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キーワード | ビタミンA / メトトレキサート / D-グルコース / 消化器障害 / マウス肉腫細胞ザルコーマ180 / マウス白血病細胞L1210 / 小腸粘膜 / 抗癌作用 |
研究概要 |
平成5年度研究実施計画としては、担癌マウスを用いてビタミンAがMTXの抗癌作用を妨害しないことをIn Vivoで明かにすることを予定した。CDF1雄性マウスにL1210マウス白血病細胞、およびICR雄性マウスにSarcoma 180マウス肉腫細胞を腹腔内に移植したマウスに、次の4群の薬物処置を経口投与で行った。対照群(生理食塩水投与)、MTX投与群、MTXとビタミンA併用群、ビタミンA投与群.MTX投与量は10mg/kg体重、ビタミンA投与量は1000IU/kg体重とした。L1210細胞移植マウスについては、1日1回、4日間投与し、Sarcoma 180細胞移植マウスについては1日1回、5日間投与した。 1.L1210細胞移植マウスでは投与後のマウス生存日数を調べ、延命率を求めると、MTX投与群、MTXとビタミンA併用群では対照群に比べて70%、100%と有意に延命率が増大した。ビタミンA投与群での延命率は対照群に比べて僅かな増加(11%)であった。2.sarcoma 180細胞移植マウスについては6日目に腹水を採取し、腹水およびSarcoma 180細胞容積を測定した。MTX投与群、MTXとビタミンA併用群ではいずれの容積も対照群に比べて有意に減少していた。ビタミンA投与群では対照群と比べて有意な変化は認められなかった。3.上記2.の実験の際に、小腸を摘出し小腸粘膜成分を定量した。MTX投与群では小腸粘膜の蛋白質、脂質含量はいずれも対照群に比べて有意に低下していたが、MTXとビタミンA併用群ではいずれもMTX投与群より有意に増大していた。ビタミンA投与群では対照群と同レベルであった。4.光学顕微鏡にて小腸切片の形態学的観察を行うと、MTX投与群では腸管膜の著しい損傷が観察されたが、MTXとビタミンA併用群では正常な形態を保っていた。したがって、ビタミンAの併用はMTXの抗癌作用に影響することなく、MTXによる小腸粘膜障害を防ぐことが明らかとなった。
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